ハッカーがデジタルアイデンティティを利用して顧客をターゲットにする方法

詐欺に遭うのは被害者が無知だからではなく、ハッカーが巧妙な手口を使って騙すからです。ハッカーは巧みに信頼を得て、一見本物のように見える電子メールを有力な手段として悪用します。無害な電子メールでさえ、顧客をサイバーセキュリティにおける弱点に変えてしまう事例をご紹介します。

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ハッカーがデジタルアイデンティティを利用して顧客をターゲットにする方法

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 SingVerify, Cyber Security

多くの場合、システムに直接侵入するよりも、人を誘導してパスワードを漏洩させる方が容易です。このソーシャルエンジニアリングという手口には、心理的操作によってユーザーを欺き、セキュリティエラーを起こさせたり、機密データを漏洩させたりする、さまざまな悪意ある行為が含まれます。

ハッカーが用いる手法は、2種類に大別されます。信頼性の高い相手になりすます方法と、やり取りにおいて切迫感を植え付ける方法です。例えば、同僚からのメールを装って機密情報を送るよう依頼する、クレジットカード決済が失敗したと偽って緊急の電話をかけるといった手口が挙げられます。このような緊急事態に直面すると、人は衝動的に行動しがちであり、機密情報を漏洩しやすくなります1

ハッカーの手口

フィッシング

銀行などの信頼できる企業を装い、ログイン情報を要求する偽メールを送る

ベイト攻撃

無料の映画ダウンロードを提供して、ユーザーに電子メールの認証情報を入力させる

スピアフィッシング

企業の幹部などを装った標的型メールにより、電信送金など具体的な行動を指示する

スケアウェア

偽のウイルス警告を表示し、ウイルス対策ソフトウェアの購入を促す

プリテキスティング

配達員を装って、立ち入り禁止エリア内に侵入する

ヴィッシング

テクニカルサポートなどになりすまして電話をかけ、相手を騙す

詐欺の代償

顧客のデジタルアイデンティティの保護は不可欠。

金銭的な被害は顕著に現れています。シンガポール政府関係者のなりすまし詐欺が最多で、平均被害額は11万6,000ドルに上ります。それに次いで投資詐欺が6万ドルです2。さらに精神的な負担も大きく、マッキンゼーの調査によると銀行利用者の70%は詐欺の可能性について警告を受けると、不安やストレス、落胆を感じたとされています3。シンガポール警察のデータからも深刻さが浮き彫りとなっています。被害額は増加の一途をたどり、2023年には6億5,100万ドルに達しました4

顧客のデジタルアイデンティティを守ることは、顧客の資産を保護するだけではありません。デジタル化の進む社会において、信頼とロイヤリティを維持しながら安心感を与えることにもつながるのです。

サイバーセキュリティのベストパートナーを選ぶ

詐欺撲滅には、政府、企業、市民の連携が必要です。企業は従業員の教育を優先し、まずは信頼できる技術プロバイダーの選定から始めましょう。継続的なサポートとシームレスな統合を実現し、規制を遵守するプロバイダーと提携すれば、詐欺に対する防御を強化できます。

シングテルの力で、デジタルアイデンティティを保護しましょう。

References:

1. What is social engineering(ソーシャルエンジニアリングとは何か) 、IBM

2. Singapore Police Force News Release - MID-YEAR SCAMS AND CYBERCRIME STATISTICS(シンガポール警察ニュースリリース:詐欺・サイバー犯罪に関する中間統計)、2023年

3. A new approach to fighting fraud while enhancing customer experience(詐欺撲滅とカスタマーエクスペリエンス向上を両立する新たなアプローチ)、McKinsey、2022年

4. Is Singapore Doing Enough to Safeguard Itself Against Cybersecurity Attacks and Scams?(サイバーセキュリティ攻撃・詐欺に対するシンガポールの防衛策は十分か)、The Diplomat、2024年

 

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